シマとの対話〜第II章(第5話)『風を追いこせ』(平田大一)
南島詩人・平田大一の“今この瞬間”に綴り出される詩、そしてそれに呼応するような1枚写真とのコラボレーションでお届けする連載『シマとの対話』。2009年より待望の第2章スタート!(毎月15日更新)
第II章(第5話)『風を追いこせ』
先人たちの起こした風に
この身をさらし
大きく腕を広げたら
眼下に見える「シマ」は、
今も同じ生命力で光っているはずなのに…
その「光」を曇らせているものがあるとしたら
それは「人」だ。
このシマを
生かすも
殺すも
このシマに生きる
僕たち「人間」に
他ならないんじゃないか…
自問自答の想いとは裏腹に
五月の風はキラキラと
優しく光る海をすべってゆく。
道に迷ったとき僕は
古の者たちと語り合う
先人たちの声なき声に耳を傾ける。
目を閉じて
深呼吸…
五感を澄ませば
風の足音が聞こえるんだ!
生きるのに
どんなに困難な時代でも
どんなに苦しい状況でも
「ここから、逃げるな!」
「ただ、生きているだけでもいい!」
「だから、生きることから逃げるな!」と叫ぶ声がするんだ。
ああ!
今を生きる喜びを
この高い空に放てば!
響け、歌声よ
明日をここに連れて来い!
さあ!
踊れはだしのままで
歌えこころのままに
このシマの風はいつも
世界とつながっているから
このシマの命はいつも
変わらない今を謳っているから
シマの光を感じられる
僕は一人の「島人」になりたい。
否!
僕自身が「光の粒子」
その一つでありたいんだ。
先人たちの起こした風に
この身をさらし
大きく腕を広げたら
眼下に見える「シマ」は、
今も同じ生命力で光っている。
その光の中に
未来に生きるこのシマの子どもたちの
笑顔が弾けた。
ああ!
先人たちよ。
見るがいい。
僕は僕のやり方で
未来に語られる今を生きる。
誰に笑われようとも
僕が僕を知っている
僕の今を知っている。
また深く深呼吸。
目の前に吹く
風を追いこせ!
南島詩人/平田大一
ryuQ生まれのコンテンツ『シマとの対話』が、
書籍版として新たに生まれ変わります!
南島詩人・平田大一とKUWA(ryuQ)の写真とが
コラボレーションした、情熱と感動の作品集になりました!!
書籍版『シマとの対話【琉球メッセージ】』
文:南島詩人・平田大一 / 写真:桑村ヒロシ(KUWA)
出版:ボーダーインク
発売日:好評発売中!
価格:¥1500(+税)
※通販は、てぃーだショップで販売中!
→ http://shop.ti-da.net/
●Profile:
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。
進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)、写真詩集『シマとの対話【琉球メッセージ】』ほか。
・平田大一ブログ『シマとの対話』:
http://hiratadaiichi.ti-da.net/
→
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