『うちなーおばあ、ガイヤの会』第2回ゲスト・宮里聡さん
沖縄のおばあちゃんたちの知恵や叡智を共有し未来に繋げたいと発足した『うちなーおばあ、ガイアの会』。第2回目の特別ゲストは、宮里聡さん(46歳)です。宮里さんは15歳の頃から、玉城の御嶽を守ってきたおばあちゃんたちと交流し、玉城や知念に古からの言い伝えを受け継がれ、語り部となっておばあちゃんたちの黄金言葉(くがにくとぅば)を今の時代に語ってくださいました。
*おばあちゃんたちの黄金言葉を受け継ぐ
宮里聡さんは、生まれも育ちも那覇。小さい頃から夢でいろんな場所を見させられるようになり、それが現実にあるのかどうかを確かめるため、15歳の頃から玉城の地をひとりで訪れるようになり、玉城百名の聖地を守ってきた神人のおばあちゃんたちと巡り会っていきます。おばあちゃんたちにはいろんなお話を伺おうとしますが、当時は地域の神事のことや大事な言い伝えなどを気軽に話すような時代ではなく、ましてや彼は地元の子でもありませんでしたので、なかなか簡単には語ってくれたりはしなかったそうです。
しかし宮里さんが子供ながらに思ったのは、このおばあちゃんたちがいなくなったら玉城百名に伝わる言い伝えを分かる人が誰もいなくなると思い、「明日も明後日も来るよ」と言って本当に毎日々々那覇から玉城までバスに乗って通い、おばあちゃんたちと会話をする日々を重ねていったそうです。
それが31年間も続き、
「もう、おばあたちは歳で動けないから、あんたが手足となって、伝えていきなさい」と告げられたといいます。これからは宮里さんが語り部になる番です。
おばあちゃんたちから聞かされてきた古い時代からの言い伝えや、心に残る黄金言葉とは。
話がはじまる前に、座開きに舞踊家の玉城京子さんが『鷲の鳥』を舞ってくださいました。実はこの『鷲の鳥』と百名の地に昔から伝承されてきた言い伝えとが見事につながっていくのでした…
*玉城いうはじまりの場所/そしてすべてが大切な場所
宮里聡:受水拝水(うきんじゅ・はいんじゅ)という場所は、一般には稲作の始まりだと云われている場所ですが、「それ以前の場所が百名のさちばるにある米地(めーじ)という場所があって、そこではじめて稲作が行われたんだよ。鶴の鳥が苗種を運んできてそこで息絶えて落ちた場所で発芽したのが沖縄の稲作のはじまりと言われているが、実はそうではなくて、鷲ぬ鳥(世を架けられる鷲)なんだよ」と聞かされてきました。
(※編集部:沖縄の鳥類としては、鶴よりもタカ科の鷲などのほうがより現実的ですね)
宮里聡:そこから苗床として受水拝水に移したものであるし、琉球開闢神のアマミキヨが仮住まいをされたといわれている場所が浜川御嶽と知られているけれど、「本で紹介されている浜川御嶽と呼ばれている場所は浜川というカー(川)で、本当の浜川御嶽はその向かいだよ。スパーナヅカサと呼ばれている場所こそが昔からの浜川御嶽なんだよ」と教えられました。
(※編集部:写真詩集『シマとの対話』の表紙にも写ったあの場所が、偶然にも本来の浜川御嶽だったのですね…)
宮里聡:現在、拝所巡りの本とかいろんな書物が出版されていますが、地元に昔の長老たちから伝わってきたものとは違っているところが多々あります。
とくに知念や玉城は「はじまりの場所だよ」と言われてきた大切な場所です。そして、玉城だけでなくて、実はどこでも大事な場所なんですよ。
*「しでぃがふぅー、ちゃー感謝」
宮里聡:人はよく「あそこの神様は大きい」とか比べて言う人がいますが、勝手に人間が大きさを競うのであって、本当はどこの場所でも大事ですし、ひとりひとりの誰もがみんな大事なんですよ。
おばあさんたちは「人というのは背比べは無いんだよ、みんな同じなんだよ。どういうところから来ようと、この世に生まれたらみんな一緒。とても一人一人が大事なんだよ」。そういう当たり前のことをよく聞かされてきました。
宮里聡:おばあさんたちが常々に言っていた言葉が、
「しでぃがふぅー、にーせー。神様を重んじる前に、ちゃー感謝。感謝の心を持てよ。ありがとうやいびん。その心を忘れちゃいけないよ」。
「神様、仏様、御先祖様だけじゃないよ。自分を尊く敬う者こそ、他人や神様を敬うものだよ。それがあとで世のため、人のためになるんだよ」ということをおばあさんたちは私に教えてくれました。
宮里聡:「年齢が若いとか年寄りとか関係なく、だから、あんたからも学ぶこともあるんだよ。頭(こうべ)を垂れるような実った稲穂になりなさい。歳を取ると背中は丸くなるように頭は垂れるんだよ。そういう(実った稲穂のように頭を垂れるような謙虚な)人になりなさい。心の玉を磨きなさい、真玉磨きよ」。日々をあらためれば、常に心の鏡は輝いている。そういう会話をおばあたちと何十年も続けている中で、心が洗われる時間が本当にたくさんありました。今になって、本当にありがたいな。もう一度、おばあたちの黄金言葉を伝えよう、そう思ったのです。
編集部:今ではそういうことを語ってくれるおばあちゃんたちが、地域から少なくなってきているかもしれません。でも、特別な人や場所だけが尊いのではなく、“どこであろうと誰であろうとこの世に生まれてきただけで大事”というメッセージ。それって、当たり前のことだけど、当たり前のところから大切なんですね。普通のごく身近なところに、足もとに宝があることを教えてくれました。
●本日8月27日(金) 午後7時
『第3回 うちなーおばあ、ガイヤの会』
「真喜志さき子さん(琉球天女研究家・元女優)をゲストにお迎えして」
場 所:『山の茶屋 水楽』(地図はコチラ→)
(沖縄県南城市玉城字玉城19−1)
電 話:098-948-1227 (※要予約)
参加費:1000円(飲み物付き)
世話役:浅野、稲福、村井(事務局)
(レポート: 桑村ヒロシ、写真: YUKI)
宮里聡:受水拝水(うきんじゅ・はいんじゅ)という場所は、一般には稲作の始まりだと云われている場所ですが、「それ以前の場所が百名のさちばるにある米地(めーじ)という場所があって、そこではじめて稲作が行われたんだよ。鶴の鳥が苗種を運んできてそこで息絶えて落ちた場所で発芽したのが沖縄の稲作のはじまりと言われているが、実はそうではなくて、鷲ぬ鳥(世を架けられる鷲)なんだよ」と聞かされてきました。
(※編集部:沖縄の鳥類としては、鶴よりもタカ科の鷲などのほうがより現実的ですね)
宮里聡:そこから苗床として受水拝水に移したものであるし、琉球開闢神のアマミキヨが仮住まいをされたといわれている場所が浜川御嶽と知られているけれど、「本で紹介されている浜川御嶽と呼ばれている場所は浜川というカー(川)で、本当の浜川御嶽はその向かいだよ。スパーナヅカサと呼ばれている場所こそが昔からの浜川御嶽なんだよ」と教えられました。
(※編集部:写真詩集『シマとの対話』の表紙にも写ったあの場所が、偶然にも本来の浜川御嶽だったのですね…)
宮里聡:現在、拝所巡りの本とかいろんな書物が出版されていますが、地元に昔の長老たちから伝わってきたものとは違っているところが多々あります。
とくに知念や玉城は「はじまりの場所だよ」と言われてきた大切な場所です。そして、玉城だけでなくて、実はどこでも大事な場所なんですよ。
*「しでぃがふぅー、ちゃー感謝」
宮里聡:人はよく「あそこの神様は大きい」とか比べて言う人がいますが、勝手に人間が大きさを競うのであって、本当はどこの場所でも大事ですし、ひとりひとりの誰もがみんな大事なんですよ。
おばあさんたちは「人というのは背比べは無いんだよ、みんな同じなんだよ。どういうところから来ようと、この世に生まれたらみんな一緒。とても一人一人が大事なんだよ」。そういう当たり前のことをよく聞かされてきました。
宮里聡:おばあさんたちが常々に言っていた言葉が、
「しでぃがふぅー、にーせー。神様を重んじる前に、ちゃー感謝。感謝の心を持てよ。ありがとうやいびん。その心を忘れちゃいけないよ」。
「神様、仏様、御先祖様だけじゃないよ。自分を尊く敬う者こそ、他人や神様を敬うものだよ。それがあとで世のため、人のためになるんだよ」ということをおばあさんたちは私に教えてくれました。
宮里聡:「年齢が若いとか年寄りとか関係なく、だから、あんたからも学ぶこともあるんだよ。頭(こうべ)を垂れるような実った稲穂になりなさい。歳を取ると背中は丸くなるように頭は垂れるんだよ。そういう(実った稲穂のように頭を垂れるような謙虚な)人になりなさい。心の玉を磨きなさい、真玉磨きよ」。日々をあらためれば、常に心の鏡は輝いている。そういう会話をおばあたちと何十年も続けている中で、心が洗われる時間が本当にたくさんありました。今になって、本当にありがたいな。もう一度、おばあたちの黄金言葉を伝えよう、そう思ったのです。
編集部:今ではそういうことを語ってくれるおばあちゃんたちが、地域から少なくなってきているかもしれません。でも、特別な人や場所だけが尊いのではなく、“どこであろうと誰であろうとこの世に生まれてきただけで大事”というメッセージ。それって、当たり前のことだけど、当たり前のところから大切なんですね。普通のごく身近なところに、足もとに宝があることを教えてくれました。
●本日8月27日(金) 午後7時
『第3回 うちなーおばあ、ガイヤの会』
「真喜志さき子さん(琉球天女研究家・元女優)をゲストにお迎えして」
場 所:『山の茶屋 水楽』(地図はコチラ→)
(沖縄県南城市玉城字玉城19−1)
電 話:098-948-1227 (※要予約)
参加費:1000円(飲み物付き)
世話役:浅野、稲福、村井(事務局)
(レポート: 桑村ヒロシ、写真: YUKI)
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この記事へのコメント
この会は、今も継続されているのでしょうか?
Posted by ももんが at 2022年03月06日 18:05
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