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1年365日24時間いつでも食べられる「ランチ」

1年365日24時間いつでも食べられる「ランチ」という名の洋食
早いものでこの間、年が明けたかと思ったら今はもう3月である。今年の沖縄の2月は連日雨雨雨曇り時々晴れ、そして雨雨雨曇りのち雨。と、ついつい、八代亜紀の「雨の慕情」を口ずさんでしまうほど、雨の毎日であった。

2月といえばセ・パ両リーグあわせて9球団が、韓国プロ野球を合わせると12球団が沖縄でキャンプを行っていた。が、今年は2月の間中ずっと雨だったことに、多くのウチナーンチュが何故だか各球団に対して申し訳ない気がしていたのであった。その心情はというと「せっかく沖縄キャンプしてくれたのに、雨ばかりの日が続いてごめんなさい」という気持ちなのである。ウチナーンチュが雨を降らせたわけでもないし、雨が極端に練習をさまたげたわけではないけれど、それでもウチナーンチュは各球団や関係所に対して申し訳なく思ってしまうものである。ボクも同じ気持ちで、できることなら選手一人一人に会ってお詫びといいつつ沖縄のランチをご馳走したいくらいであった。でも、もう、彼らは(球団関係者及び選手たちのこと)本土に戻ったのでランチをご馳走できないし、ボクとしても野球選手に驕れるほどの財力もないので、せめて“おきなわのランチ”について知っていることを教えることでお詫びの気持ちとしたい。

大衆食堂むつみのスペシャルランチで、ここからが本題ね。
ところで、通常、ランチといえばお昼に食べるご飯のことで、ランチのA・B・Cあるいは日替りランチと呼ばれるメニューは、喫茶店やカフェ、レストランなどの飲食店でお昼の時間帯だけに提供されるメニューだったりする。ところが、沖縄でランチといえば前述の通りの意味もあるけれど、食堂やレストラン、ステーキハウスなどで出てくる「ランチ」はというと、もう「ランチ」という名の独立した立派なメニューである。だから、「ランチ」という名前だけど朝でも昼でも夜でも真夜中でも、明け方でさえ食べられるメニューである。

あ、そうそう、今回のタイトルに“1年365日24時間いつでも食べられる「ランチ」”と書いたけど、実は沖縄には年中無休で24時間営業の食堂やレストランがケッコウあり、ほとんどの24時間営業の飲食店に「ランチ」あり、真夜中に酔眼朦朧としたアンちゃんたちが飲んだ後の締めに「ランチ」を食べたりもする。

「ランチ」がメニューに並ぶ店のほとんどが「Aランチ・Bランチ・Cランチ」の3段階に分かれており、Aを筆頭にボリュームと種類の構成によってボリュームと料金がランク分けされている。また、店によっては「○○ランチ」という風に自分の店の名前を冠して特別メニューとして出しているところもある。
ハイウェイドライブイン、写真提供=月刊沖縄JOHO
では「ランチ」とはどんな内容なのかというと、「Aランチ」だと大き目の皿の上に豚カツ、やハンバーグ、ポーク、玉子焼き、ベースに店によってフライチキンやエビフライがのっていたり、サラダやフライドポテト、ナポリタンなどがのっていたりする。「Bランチ」はそれからエビフライやフライドチキンなど値の張るものの代わりにウィンナーやハムを入れたもので、「Cランチ」はそれからさらに品数が減るか、サイズを小さくしたものである。
軽食の店ルビー、写真提供=月刊沖縄JOHO
「ランチ」を注文するとまず自動的にスープ出てくることが多い。一応、洋食なので食堂でもやはりスープが運ばれてくる。皿の上に盛られたご飯が出てきて、食べるときは箸ではなくナイフとフォークを使う。「ランチ」がいつ頃生まれたのか正確なことはわかっていない。ただ、戦後生まれということはわかっており、豚カツやハンバーグが入っているところを見てもわかる通り、昭和20年代前半には「ランチ」は大変なご馳走であったという。
やんばる食堂、写真提供=月刊沖縄JOHO
沖縄芝居の役者であの平良とみさんのご主人の平良進さんから聞いた話だけど、「昭和20〜23年頃はそば(沖縄そばのことネ)がとてもご馳走で、田舎の人が那覇に出てきてそばを食べて帰るのが一番の楽しみだったというけど、それよりもご馳走だったのが『1ドルランチ』だった」という。「仲間内で1ドルランチを食べた人は、会う人ごとに吹聴していたよ」ともいう。当時、芝居の料金が20セント、そばが15〜20セント、コーヒーが20セントだったことを考えると、当時、1ドルの食事はぜいたくな食べ物であった。

そこでボクは進さんに「1ドルランチ」にどんなものが入っていたのと聞いたところ、「ボクは人づてにしか聞いておらず、実際に食べたことも見たこともないから残念ながらわからない」といった。その後、豚カツもハンバーグもポーク玉子も一般的に普及することで、庶民でも気軽の「ランチ」が食べられるようになったのである。

今でも「ランチ」は若い人を中心に人気もメニューであるが、ある年齢以上になってしまうとなかなか手が出せないメニューでもある。何しろ肉と揚げ物のオンパレードなうえ、美味しいからといって食べ続けることで、メタボな体型はさらの増幅すること間違いないからである。美味しいだけでなく、ご飯のメッチャよく合うおかずが多くついついご飯もお代わりをしてしまうのも困りものである。

そんなわけである意味、40代以上の沖縄の人にとって「ランチ」は禁断のメニューといえる。わかっちゃいるけどやめられないメタボリックな「肉食系中年男子(おっさん)」には危険極まりないメニューであることを自覚しつつ、今日も取材と言いつつランチを注文するのであった。
(写真提供=月刊沖縄JOHO)

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1年365日24時間いつでも食べられる「ランチ」
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。


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Posted by ryuQ編集室 at 2010年03月15日   09:00
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