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琉球舞踊家・高嶺久枝物語『琉球芸能の源流を探る』【最終話】

琉球舞踊家・高嶺久枝物語『琉球芸能の源流を探る』【最終話】
今日は節分の日ですね。実在した沖縄の鬼面、しかもそれが沖縄の祖神をかたどったものであるということに注目。そして今、現代に復元し、2月25日に魂込めの奉納舞いをされる琉球舞踊家・高嶺久枝さんへのインタビューはいよいよ最終章を迎えます。

——琉球開闢のアマミキヨ神のお面が復活するのは何年ぶりになるのでしょうか?

琉球舞踊家・高嶺久枝物語『琉球芸能の源流を探る』【最終話】高嶺久枝:沖縄戦で焼失してしまったので、六十数年ぶりだそうです。

——そしてその神面の正式な奉納舞いを2月25日に公開されるとのことで、前回のインタビュー【第3話】に引き続きさらにお話を伺いたいと思います。

高嶺久枝:とても神聖なことなので、畏れ多くて簡単には手をつけられない世界ですよ。
アマミキヨの直系の子孫であるミントン家(知念家)のかたも、もし事故が起きたら困るのでミントングスクに拝みに通いなさいとおっしゃってくださって。
私も私で、このような神聖なものを扱うというのは、畏敬の念もあってとても慎重です。

——とても大役をお引き受けられましたね。

高嶺久枝:私の夫で詩人の高良勉に、先日行われた国立劇場おきなわ公演のパンフレットに琉球開闢神の詩を寄稿もらえるかどうか訊いてみたところ、今回はわからないと。というのは、アマミク神は彼の故郷(玉城)の神様でもあるので、その神に手をつけはじめている私に、ひところ偏見視していたんですね。とてもゆかりのある聖地ですから、年期周りで東御廻いをしておりミントングスクもそのお参りのコースでしたので、彼らにとっても神聖な場所なんです。
「君が何をしようとしているのか判らないけれど、もし理不尽なことをしたら僕はシマ(故郷)に帰れないよ」とまで言われたんですよ。
でも私は、「今やらないでいつやるの? 私がやらないで誰がやるの?」と。最初の頃はそういうやりとりもあったのですが、期日までに詩を用意してくださったので、応援してくれるんだというGOサインとして受け取りました。
高良勉の詩+アマミキヨの神面
——そのようなこともあったのですね。

高嶺久枝:それから、世界の仮面を研究されておられる千本木智美さんにはこんなエピソードもあったそうです。彼女が沖縄の地に降り立った時に「鬼面、鬼面…」という声が聞こえてきたらしいんですね。さらには身体も揺れながら「ありがとう、ありがとう」とも聞こえてきたそうです。その時のご案内役が瀬底正樹さん(津波古獅子跳蹴(舞)保存会会長)で、彼にその話しをすると「そういう話は沖縄ではよくあることだよ」と言ってその時はそれほどは驚かれなかったらしいのですが。
文献
また文献の中にも、ミントングスクに鬼の面があったということが書かれてあったのだそうです。それを見つけて読んだ際、彼女は「ぜひお面を再現してみたい」と思い立ったらしく、1年間の歳月をかけて教育委員会や図書などに通ったといいます。南城市教育委員会の大城秀子さんからは小島先生をご紹介してくださって貴重な資料を頂いたり、そのように想いが重なるように引き寄せられていきました。

そして私は、2月25日の正式奉納時に、神面に魂込めの役目を言われたものですから。…ある意味、私しか出来ないだろうとも思いました。ですが慎重に。
芸能の世界に生きる私は、知花清秀先生、新垣郁夫先生、波照間永吉先生など、諸先生方や各関係者の皆様のお力添えを頂きながら独りよがりにはならないようにやってきました。

そのように、アマミキヨはみんなの心の財産だと思うんです。それをみなさんにもぜひ共有してほしいなという想いがあり、2月25日の正式奉納を開かれたかたちで行う予定です。

高嶺久枝——琉球古来からの大切なものを甦らせ、それを皆さんにオープンにし、歴史的瞬間を皆と共有したいというお気持ちがよく伝わりました。また貴重なお話を直接お伺いすることができ、とても感謝しています。

高嶺久枝:私もこういうことを語ることで、自分の中で整理できて、そしてまた明日へとつながるんですよ。

——最後に、読者の皆様に向けて、もう一言お願い致します。

高嶺久枝:かつて、琉球開闢神のアマミキヨ様が降臨され、国造りをされて、そして現代の沖縄に私たちが生きてきているのです。
原点のアマミキヨ様の祖先崇拝とか自然崇拝とかを私たちウチナンチュがやってきたものを、その原点を辿って40年間芸能を通してやってきたことを、そして53年の生を受けてからこんなにも早く辿り着けて意識できたということは、私にとっても幸せなことだと思います。

そしてこれをきっかけにして、みなさんの中にまた意識をして頂けるときっと明日からの勇気になると思いますし、そして周りにいる人たちがみんな愛おしくなってくると思いますので、それが心の平和を生みだし、その一人一人の心の平和がやがて世界の平和へとつながりますので、ぜひ共有財産としていけたらなと思っています。

“アマミキヨ様のお面を偶像としてではなく、心の中に描いていただけたら”と思います。
お面というひとつの点がなければこのような作業はできませんでしたので、ウムイ(想い)の中にアマミキヨ様を描いて、世界平和につなげ地球の心を守っていきたいなと思っています。

→【第1話】「技術(型)だけでなく“ウムイ(想い)=精神”も大切なのです」
→【第2話】「感動が生まれる瞬間とは、深いところで重なるものがあった時」
→【第3話】「知恵と心で発展していく人間の可能性とは凄いもの」
→【最終話】「アマミキヨはみんなの心の共有財産だと思うんです」


※プロフィールは高嶺久枝公式ブログにて:
→ http://takaminehisae.ti-da.net/


(取材: 桑村ヒロシ)


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Posted by ryuQ編集室 at 2010年02月03日   09:00
Comments( 0 ) 沖縄の人々
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