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宮古島の神歌と古謡【前編】

宮古島の神歌と古謡【前編】
こんな公演はもう2度と実現不可能ではないだろうか。普段は表に出てくることがない神歌を、シマの聖地から外に持ち出して舞台の上で披露するという前代未聞の東京公演『宮古島の神歌と古謡』は、18日、19日をほぼ完売し、さらに追加公演が20日にも行われた。この公演を通して、神歌のありかた、継承問題などにクローズアップしてみたい。

――ふだん、神歌は、宮古の御嶽(ウタキ)など聖地で行事の中で歌われるものだと思うのですけれど、今回、東京のほうで公演されるということについて、みなさんの想いをお聞かせ頂けたらと思います。

「3名のおばあちゃんたちは、神歌を歌うにあたって、3つのカマド石のように底が不安定にならないように、3人共が同じ様なカマド石となり心ひとつになって歌いたいということを話しておられました。神歌を歌うにあたっては、西原地域を代表する大きな御嶽に行って神様にお祈りし、神様からのお許しを得て、長老たちのアドバイスを受けてやっております」と世話役のかた。
宮古島の神歌と古謡【前編】
「大きな舞台の上で、神歌を歌うようにいわれまして、それなら頑張って歌うしかないと思っています。西原では、現在はもう若い人たちがあまり神歌を歌いませんので、今ではお年寄りの何名かしか歌っていません。その歌を歌います」と長崎トヨさん(91歳)。

現在、西原地区でも次の担い手がなかなか出て来ず、字長(区長)さんも頭を痛めているそうです。
これは宮古でもこの地域に限らず、狩俣地区でも12年ほど前に途絶え、今回公演される西原地区、伊良部島の佐良浜地区は“池間民族”といわれる池間島からの分村なのですが、その大元である池間島のほうも継ぎ手が見つからず、数年前から途絶えたままになっているとのこと。

宮古島の神歌と古謡【前編】「今回、この催しに参加したのは、西原のおばあたちのことを聞いて、宮古の神歌・古謡というのは若い世代の私たちが継いでいかないと途切れていくなというのを思いました。私たち佐良浜地区もツカサンマの歌は祭祀の中で歌って覚えてきた歌なので、これを途絶えさせてはいけないという想いがありまして。さらに若い世代の人たちにも神様からの伝統を引き継いでいってもらえたらいいかなと思っています。そこで今まで隠されていたものを多くの人に聴いてもらって、この神歌を途絶えさせないように参加してしてみることにしました」と、佐良浜の与儀千代美さん。

――ところで、同じ池間民族の、西原と佐良浜でも、歌われている神歌などは違うのでしょうか?

宮古島の神歌と古謡【前編】「今回、西原と佐良浜の地域の皆さんが歌われますが、同じ池間島からの流れを汲んでいますけど、精神世界はそれぞれ独自の世界観を持っています。
佐良浜のオヨシという神がかりして歌う歌があるんですが、これは今回(公演のためには)持ち出すことが出来なかった。ようするに人前では公開することが出来ない神歌がいっぱいあるという事ですね」と、解説役の佐渡山安公さん。

宮古島の神歌と古謡【前編】最終日には成功祈願のウクイの儀式をされるカンカカリャの根間忠彦さんからもメッセージを頂きました。
「私たちカンカカリャ(神人)は神に追われてくるんですね。その状況は谷川健一先生の著書『神に追われて』(新潮社)にも書き記されていますが、カンカカリャというのは自分がなりたくてなる訳ではなく、カンダーリ(神倒り)という神からの過酷な修行を経て神が宿っていくんですね。わたしの場合は苦しい修行が3年間ありました。そして神に仕える役割を担っていくのです。
神歌はカングイ(神の声)。それは神の声が掛かることなんですが、今回私は、この公演で胸騒ぎがしています。何か惹かれるものがありました。
これまで表に出ることがなかった神歌が表に出ることはきっと意味があると思いますので、神様にお許しを経てやっていきたいと思います。
宮古の神々はもちろんのこと、今朝からは東京の神社に参拝し、神様からの許可を頂くことができました」とのこと。

宮古島の神歌と古謡【前編】「東京に行って歌うからには、祈りに命をかけて歌う」と高良マツさん(93歳)。
歌うにあたっては、「命のある限り歌う。口がある限り歌う」ということ。これまでも本当に心から歌ってこられました。

「本当にありがとうございます。うちなんかも(私も)頑張るからね」と村山キヨさん(87歳)。

宮古では、地域外に出て歌うということはほとんど無いといわれます。
神歌というのは、祭祀でツカサンマ(神司)が村の願い役(無病息災、子孫繁栄、等)になり、10年間務める中で儀式に歌う歌。行事の中には、御嶽に夜籠もりして、一夜籠もり、二夜籠もりして祈願を夜通し歌うそうです。
そして夜籠もりの最後には日の出と共に『旅栄えの綾語』を歌って終わるのだそうですが、このような神歌を私たちが今回の舞台や記録CDで聴くことができるようになったのは、
「自分たちの神歌を継いでくれる人が、一人でも出てきてくれるように」という、おばあちゃんたちの想いがあって実現したのでした。

こうやって東京で歌うにあたっても、“東京、そして世界の繁栄を願おう”と気持ちを込めて歌うのだそうです。
「“繁栄”とは物質的な繁栄ではなく、心の豊かさを願う繁栄だから、わたしたちは世界平和に通じているよね」というような素晴らしいお話をしてくださったのです。(つづく)

(取材: 桑村ヒロシ、取材協力: アリオン音楽財団)


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Posted by ryuQ編集室 at 2009年07月21日   09:00
Comments( 0 ) 沖縄の芸能・文化
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