県出身女優・満島ひかり/映画『プライド』インタビュー
人気少女漫画『プライド』が映画化。ヒロインは県出身の満島ひかり(元Folder5)とステファニー、監督は『デスノート』の金子修介、原作は少女漫画界の巨匠・一条ゆかり。
性格も育ちも対照的に違う女性二人がオペラという題材をテーマに、“オペラのプリマドンナになるべく、歌劇(かげき)なバトル”が繰り広げられる。
ライバルから歌のベストパートナーへとムキ出しの闘志で認め合ってゆくストーリー。沖縄では2/7(土)から桜坂劇場で上映がスタートし舞台挨拶に訪れた金子監督と沖縄出身の満島ひかりの2人に緊急インタビューを決行!監督と満島ひかりが数々の現場で培ってきた信頼関係など、初トークも飛び出し、裏話も満載のインタビューとなった。さぁ、鑑賞前にこれを読んでから劇場へと向かってみよう。
とにかく「ゴージャスに」
——原作は漫画という文字や絵で表現されている2次元作品を、映像という3次元の立体にするわけですが、どんな点にこだわって撮影に望んだのでしょうか?
金子修介監督:原作の一条ゆかりさんがとにかく「ゴージャスに」という事だったので、今までに(映画の撮影で)使われたことがない新国立劇場を使ったり、オペラが5万円の切符という設定なので5万円相応に見えるオペラを作るということを重点に撮影しました。
(本来は新国立劇場では2万円以上になるチケットの設定は無いそうです)
——また、原作の漫画ファンの方への意識というのはありましたか?
金子修介監督:漫画ファンの方々も満足してくれていると思うんだけど、漫画のファンはこだわりが強いので、絵の雰囲気とか大事にしないといけないですし。『デスノート』の時もそうだったけど、漫画とファンとの間には対話というのがあると思うんですが、漫画と映画はやはり違うし、映画を媒介にした中での映画作りでは「漫画とは異なり誠実に映画にするということはこういう事なんだよ」というのがあるんです。漫画のファンと実際、リアルに話しをしてるわけじゃないけど、映画作りを通して“仮想観客”としそこに軸を持って作っているわけですよ。一方で原作を知らず予備知識なく観る方にも面白く観てもらうのも同時にしている、という作業なんです。
〜アンドロイド役から覚醒した女優〜
——今回、ヒロインに満島ひかりさん(沖縄出身)を起用されましたね。
金子修介監督:ひかりさんとは、『ウルトラマンマックス』(TBS)という番組のオーディションからで、そこでロボット役のエリーを1年間やってもらいました。彼女は「無表情なまま心配な感情を出せ」などの要求にちゃんと応えられるわけ。ある時(この娘は結構できるな)と気がついて。十何人もいる監督がみんなアンドロイド・エリーが好きだったんですよ。他の隊員の若い子と比べても話しやすくて、大人とも話せる、そういう面がありました。
満島ひかり:大人と話すのが好きなんですよ(笑)。
金子修介監督:だいたい若いアイドルと話していると会話は3往復くらいで終わっちゃうんだけど(笑)、ひかりちゃんの場合は話が出来て、それで演技も実は出来るんじゃないかと思い、映画『デスノート』で小さな役だけどやってもらったら、撮影の合間にモニターを見てる彼女がいるわけですよ。それでライティングとか雰囲気とかいろんなものを吸収していて、その佇まいが印象に残っていたんです。
満島ひかり:それは初めて聞きました(笑)。
——満島ひかりさんは、映画の現場が好きなんですか?
満島ひかり:すごく好きでとても興味があります。監督との会話が三言で終わらないのは、金子監督の描く世界に興味があるからなんだと思います。私、途中で覚醒して大人になるんですけど、もともとは映画や芝居を作ってるところに興味がある人だったんです。
金子修介監督:覚醒って、どこで?
満島ひかり:それは『偽伝、樋口一葉』(2006年12月)の舞台をやったときだと思うんですよ。現場を見ながら「こうやってやろう」とか。
自分の身体的には、舞台での表現が一番合うんですけど、映画は監督が撮ってる世界で最後まで出来上がりが分からないから、どうやって作っているんだろうとか凄く興味があるんですよ。
——2006年の舞台を境に目覚めて転換期になったんですね。
満島ひかり:より転換期ということでいえば昨年撮った2本の映画『プライド』、『愛のむきだし』('09.1.31公開/監督:園子温/ヨーコ役)と、朝ドラ(NHK『瞳』)も撮影していたので、これらが重なったこともあり意識は変わりましたね。
映画『デスノート』では監督が意図することをすぐに表現していくその姿が印象に残り、今回の『プライド』の出演へ。ステファニーの相手役として緑川萌役を演じることとなった。
「私、『プライド』が生々しかったです」。アウフヘーベンする二人。
——今回の映画『プライド』で、満島ひかりさんが演じる緑川萌ですが、おとなしくけなげな面と怖い面の二面性のある役を演じていますが、どちらがやりやすかったですか?
満島ひかり:もともと性格がとても冷めていて、だけど無邪気なところもあって多面性をいっぱい持っているんです。
原作の漫画では斜がかかっていたりするので、そこは気を使いました。毎日違う映画の撮影をしているようで楽しかったけど大変でした。
——どんなところが大変でしたか?
満島ひかり:この作品を撮影している時、他の人たちと日常会話がかみ合わなくなっていました。オペラもしなくちゃ、歌もカラダに身につけなくちゃいけない、女の戦いもあるし…といろいろ考えていて。盛り上がれば盛り上がるほど現場で冷めていく自分もあったりしたんです。
あと、この撮影してる時、捨て身だったんですよ(笑)。闘志とかそういうところの萌の姿は良いんですが、漫画の中では女性らしいところとかアピールするコなんだけど、自分はそういうのはとても苦手ですし。
緑川萌役を表現する際、どんな演技をすればいいのか分からなくなってしまった時があったそうだ。「救いきれない感というのがあって、でもその精神状態のギリギリ感は萌という人をとても良く表現できるんです。」という分析をしながらも「自分の普段の力だけでは出来ないけど、監督がピっという押すボタン一つでこんな顔が出来るんだとか、私、『プライド』が生々しかったです。スクリーンで見ててもフィルターがかかっていないんですよ。むき出しなんです」とも語ってくれた。
また、シンガーとしてクリスタル・ボイスを持つステファニーは、映画では初めての演技なので、役柄を引き出すためにも対する満島ひかりの存在は重要だった。目の奥の活きている加減や相性など鋭いところをひかりさんはよく見ている。ステファニーのまっすぐな演技をこの取材中に思い出し「思い出してもむかつく」などと笑いながら語ってくれた。ラストシーンではステファニーが史緒本人になりきっていて(なんだコイツ)と思ったりなど、緊張感をもちながらも「ステファニーと一緒だったから、萌ちゃんという役柄に助けられて苦戦しながらも練習してキチンと歌うことができた」という感想も。
——今回この映画がきっかけで、史緒(ステファニー)・萌(満島ひかり)・蘭丸(渡辺大)のSRMというユニットでCDが出ましたよね。どんなシチュエーションで聴いて欲しいですか?
満島ひかり:車の中で聴いたのが意外と良かったですよ。静かな感じで聴いてもらうのがいいかもしれない。
——それでは最後に読者の皆さんへ一言どうぞ。
満島ひかり:“観なきゃ分からない、観たことない種類の映画”です。とても刺激と影響を与えるような…(笑)。沖縄の方っていざとなるとパワーが出るハングリー精神が強いので、これ観て共感してもらえるんじゃないかな。セリフ一つ一つがキメセリフで格好いいので、そういうのも楽しんで欲しい。あと沖縄ならおばぁちゃんでも観れそう!年齢性問わず、小学生からおばぁちゃんまで家族で観れる娯楽映画だと思います。
金子修介監督:歌劇(かげき)な女のバトルを嫉妬を含めて描いているが、その二人が歌うハーモニーが素晴らしい。マイナスも含めて肯定的に捕らえて一つの青春だなと思いながら撮影してるので、楽しんで観てもらえるんじゃないかな、と思います。
ラストシーンでは、空港での場面は原作漫画とは異なり、一条さん自身がセリフを変更した箇所があるのだとか。
不思議なリズム感を持つこの映画は、オペラのプリマドンナの座を獲るべくバトルを繰り広げ、ドキドキ感とスカっとした爽快さやスピード感、そして「そうくるのか!」という展開! ゴージャス感たっぷり浸りながら、どうぞご家族で劇場にてお楽しみ下さい。
■沖縄上映:桜坂劇場(TEL:098-860-9555)
http://www.sakura-zaka.com/
・2/7(土)〜2/12(木) 13:00/16:10/19:30
・2/14(土)〜2/20(金) 14:50/17:40/20:30
(※期間中、2/13(金)のみ休映日です)
■映画『プライド』公式HP:
http://www.pride-movie.jp/
(文: YANTY藤原、編集+撮影: KUWA、取材協力: 桜坂劇場、アステア)
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