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2008年05月19日

「夏の始まりはゴーヤーを食べて乗り切ろう」(嘉手川学)

ryuQ100味5月号
5月を代表する沖縄の年中行事は「ハーリー」である。旧暦の5月4日(今年は新暦6月7日)に行われることからユッカヌヒー(4日の日)とも呼ばれ、漁村や港町では豊漁祈願の爬竜船(ハーリー)競争が行われる。現在では「那覇ハーリー」が新暦の5月3〜5日のゴールデンウィークに行われるが、多くの地域で旧暦5月4日にハーリーが行われている。

ハーリーのことと行事料理は去年もこのコーナーで詳しく書いたので、今回はハーリーではなく沖縄を代表する野菜のゴーヤーのことを書くね。

ゴーヤーナゼ、ゴーヤーかという、と実は沖縄では5月8日は「ゴーヤーの日」だからである。どうしてこの日が「ゴーヤーの日」なのかというと「5」と「8」で「ゴーヤー」の語呂合わせから来ていて、ベタだけどなかなかいい記念日だと思う。余談だが、沖縄ではこんなベタな記念日は多く、3月4日が「3」と「4」で「三線(さんしん)の日」、4月3日が「4(し)」と「3」で「シーサーの日」。また、4月9日が「フォークの日」で「4」を「フォー」と読むあたりが語呂合わせの極致といえる。

他にも6月9日の「ロックの日」、7月5日が「名護の日」、7月8日が「那覇の日」、9月4日が「クースの日」、9月18日が「島言葉(しまくとぅば)の日」と語呂合わせの記念日のオンパレードである。こうなれば「ソーキの日」や「テビチの日」、「ナーベーラーの日」や「フーチバーの日」、「ウッチンの日」など何とか語路合わせをして記念日を制定してもらいたいものである。

いかんいかん、脱線のしすぎだ。話はゴーヤーの日に戻そう。5月8日が「ゴーヤーの日」になったのは、語呂合わせもさることながら、この時期になるとハウス栽培のゴーヤーから露地もののゴーヤーが市場に出回るからでもある。ゴーヤーは沖縄を代表する野菜であり、普通に料理され食卓に並ぶ食材であることは間違いない。食べ方も一般的なのが「ゴーヤーチャンプルー」が代表的な料理だが、薄くスライスして酢の物や和え物、サラダのトッピングなどにもする。また、厚めの輪切りにし衣をつけて沖縄風の天ぷらや、ひき肉を詰めた「ゴーヤーの肉詰め」なども人気がある。チャンプルーだけではなく煮たり、焼いたり、揚げたりできることから、最近では洋風や和風、中華風など多彩な料理が作られている。
ゴーヤーンブシー
ゴーヤーは野菜の中でもカロテンやビタミンCの含有率がかなり高く、しかもカリウムや鉄、カルシウムといったミネラルもバランスよく含まれている。最近の研究ではゴーヤーの苦味成分のモモルデシンには血糖降下作用があることがわかり、糖尿病に有効な食材として注目されている。さらに…

ゴーヤーのビタミンCは熱にも強く、カロテンは油と一緒に摂取することで吸収もよくなるというすぐれた特性を持っている。沖縄では昔から暑い日が続く夏にゴーヤーを食べることで、夏バテの防止になることが経験的にわかっていたので、夏には欠かせない野菜として愛されてきたのである。

ちなみにボクがゴーヤー料理の中で最も好きなのは「ゴーヤーンブシー」である。ンブシーとは伝統的な沖縄の料理法で、水分の多い野菜を使った味噌味の蒸し煮のこと。

短冊に切ったゴーヤーを、島豆腐と茹でた豚肉と一緒にダシ汁を加えて、味噌味で煮込んだ料理。本土の人にはあまりなじみのない料理だが、ゴーヤーチャンプルーに比べて手間がかかるので沖縄の食堂や琉球料理の店、居酒屋などではほとんど見かけないメニューでなかなか味わえないが、ゴーヤーの苦味と旨味が味噌の風味とマッチして、しみじみとした滋味深い味わいで、ンー、何というのかなぁ、ゴーヤーチャンプルーが、少し苦味を覚えて大人になった気分の若造の味わいなら、ゴーヤーンブシーは酸いも甘いも知り尽くし、甘酸辛苦を甞めつくした大人の味わいである。

実際にボクの中学一年生になる息子は「ゴーヤーチャンプルー」は大好物だけど、「ゴーヤーンブシー」はイマイチ箸が伸びない。

苦味の中の旨味とコクが理解できないからである。たまに本土出身で「ゴーヤー大好き」と「のたまう人」を見ていると、「ゴーヤーンブシー食べられるのか?」と聞きたくなる。とにかく、ゴーヤーの苦味の美味しさがわかる料理なので、機会があれば食べてもらえると嬉しいです(って、どこで食べればいいの)。

ところで、話変わって、ゴーヤーの種子や果肉の部分にはダイエット効果に良い成分が含まれていることから、沖縄産のゴーヤーの種子や果肉の入ったゴーヤー茶が人気を博したけれど、ボクはゴーヤー料理を作るときに捨てられる種子やワタを天日干しにして、自家製ゴーヤー茶を作っている。市販のゴーヤー茶より香りが高く味もまろやかなので、毎日のようにゴーヤーを食べる夏には、自家製ゴーヤー茶作りに励んでいる。これから暑くなりはじめる沖縄。無駄もなく体にも優しいゴーヤーをみんなで食べようね。

●嘉手川 学の『ryuQ100味』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73393.html

筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。


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