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2008年02月25日

ryuQ100花2月号「住んでいる土地の土に生かされている」

ryuQ100花2月号
「粗物上戸は、胴頑丈さん」=「粗食は体を丈夫にする」

「そして人間は住んでいる土地の土によって生かされている」

我沖縄県男子諸君は、誇たる長寿ナンバー1だったのに、26位に下がってからというもの「メタボ、メタボ…」と呪文のように唱えては、まるで臨月様の腹をさすっている。
スポーツジムの帰りには、居酒屋で打ち上げをして今日の反省と明日への「メタボ」解消へ夢をかけて乾杯するのだ。
そして、そこでの話題といえば、メタボをどう克服するかの議論を展開させ、自慢の腹を酒と肴でもっと膨らませて帰宅するのである。
知り合いの内科の医師は「本人の自覚がないとメタボは解消できないんです。どんなに、検査データーを見せて説明しても日々の生活の反省をしない。これじゃ、長寿ナンバー1なんて返り咲けるわけがない」と、嘆いていた。
加えて、沖縄の人間は、DNA的に長寿と思い込んでいる節があるという。

肉なんて、とても特別な時でなければ食べられないような時代を、我々沖縄の祖先は歩んできた。
100歳を超えるお年寄りに若い頃の話を聞くと、
「芋の葉を食べていた」とか「食べるものなんて葉っぱ以外なかった。肉なんて行事の時にしか出てこなかった」など。

今で言う、ダッシュ食生活だ。その上、農業で肉体労働をこなしている。つまり、血管に油や余分な栄養素が溜まる暇がないのだ。摂取した栄養素は労働によって消費されていく。
その上、沖縄の水はミネラルが豊富で血管をやわかくするといわれている。
これらから沖縄の長寿は確立したものの、現在に至ってはどうだろうか。アメリカ世になってから、脂肪たっぷりの食生活、移動には車がかかせない。
こうなっちゃぁ、皮下脂肪だけじゃなく血管にも脂肪が蓄積され、いわゆる「26ショック」になり、短命へのカウントダウンがはじまるのである。(沖縄のオジィをタンメーというが……まさか???)

そうそう、血管に詰まった油は簡単には落とせるものではないらしい。
血管壁に浸透するようにはびこり堆積されていくっていうから怖い。
人類創世来、ヒトは常に飢餓との闘いで、脂肪をためる体を作ってきたといわれている。現在のような飽食にヒトの体はまだついていっていないのだ。
今の飽食の生活にヒトの体がついていくのには、人類創世から今日までと同じ長い時間を要するといわれている。

前置きが長くなってしまったが、沖縄はかつて長寿の邦であった。
それは、食生活からきていたのだが、それが崩れてきているにもかかわらず、沖縄県以外の人は、今の沖縄の食は長寿食と勘違いしているのかもしれない…

子供の頃、祖母の作る食事は「んぶさぁ」が多かった。「んぶさー」とは「煮浸し」のことで、代表選手が「ヘチマ」だ。我が家ではゴーヤーもパパイヤーも「んぶさー」であった。

煮込まれた野菜は、鮮やかな色は失っているものの、暑さで疲れた胃袋には優しく浸透していった。しかも、くたくたに煮ていながらも味は素材の出汁が利いていて、ゴーヤーはゴーヤーの苦味が、へちまはへちまのまったり&とろとろ感が生きていたのである。

似た話が、双葉社文庫からでている『仲村清司 沖縄うまいもん図鑑』の中にも見つけることができた。
この本によると、沖縄の原産物が危機にあるという。

沖縄の野菜といえば、ハンダマーやヘチマ、ゴーヤー、島らっきょなどが思い浮かぶが、そもそもの沖縄野菜の原種は「モーウイ」、「島ニンジン」、「ゴーヤー」のみだという。

子供の頃、祖母の作った「んぶしー」の材料ばかりだ。しかし、祖母を真似て「んぶしー」を作っても、あの味が再現できないのである。腕が悪いのかっていっちゃぁそれまでだが、野菜作りの天才・舅に言わせると、昔の野菜に比べて今の野菜は軟弱になっているという。

「んぶしー」に耐える体力が野菜になくなってきているというのだ。「あじらしけーさー(温め直し)がおいしいかったのに、今の野菜でやると、どろどろになる」という。

その理由として、素人の見解ではあるが「土」にあるという。
沖縄の強烈な太陽光線と潮風、ミネラルたっぷりな水とサンゴ礁に由来するカルシウム含有が豊富な沖縄の土は、とりわけコシのある野菜を提供するに最高の条件だそうだ。
ところが、近年、沖縄の農業も様変わりして、化学物を取りいれるようになってからというもの、野菜が変わってきたというのだ。

人間は住んでいる土地の土によって生かされている。
土を大事にしなければ、安全な食が維持できない。
安全な土から出来る野菜が、健康な体を作る。

「コレが、クスイムン(薬)ね」と、自慢のヘチマをもって舅が笑った。
そうか、何でも「土台」が大事って事なのね。と、妙に感心しながら、姑の作った「ヘチマのんぶさー」とカンダバーの味噌汁にありついた。

日頃、私の下手な(洋風な)食事に馴れている息子に、姑が、
「今日は、ばぁちゃんの作った「アラムン(粗食)だけれど、あんた達のために手あんだー(手の油=心を込めて作ったの意)でつくったから、食べていってね」と、遠慮がちに言った。
「ぬちぐすい(命の薬)だよ。おばぁちゃん。」と、息子。
やっぱり、うう!!うまい!!

(今月は、花も野菜も人間も育む「土」のお話でした)


プロフィール:比嘉淳子(ひがじゅんこ)

2児の母。すっかり“沖縄のおばぁ”的存在になりつつあるこの頃。
『沖縄オバァ列伝・オバァの喝!』『オジィの逆襲』(双葉社刊)、『琉球ガーデンBOOK』『よくわかる御願ハンドブック』(ボーダーインク社刊)、『琉球新報・うない』『琉球新報・かふう』のほか、新刊『沖縄オバァ列伝・オバァの人生指南』(双葉社)が発売中。


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