2008年01月25日
半世紀ぶりにDVDで復刻『エラブの海』

半世紀前の屋久島〜奄美大島〜徳之島〜沖永良部島の姿が今甦る。
奄美群島が本土復帰直後に映画撮影された作品『エラブの海』(1960年作)は、
当時、世界初のシネマスコープ水中カラー撮影に成功したという
歴史的セミ・ドキュメンタリー映画だった。
それがついに本日1月25日にDVDとして複刻されることになった。
そして注目を集めているもうひとつの話題として、
この映画の主題歌を歌っているのが、奄美島唄の朝崎郁恵さん(現在72歳)が
当時18歳の時、その若き日の歌声がこの映画の中に収録されたという
ほかには無い貴重な音源だ。
最近、“主人公・地球”の映画『EARTH』が世界で上映され話題のなか、
琉球版のこの映画にもそれに通じるものがある。
それがこの貴重な記録映画『エラブの海』。
しかも、昔のフィルムなのに、ゴミや傷も近代技術によって修復され、
ほんとうに昔の風景がそのまま、目の前に甦るようだ。
この映画を復活に情熱をかけた(有)ゆめ企画の喜原代表(沖永良部島出身)と、
当時、主題歌を歌ったという唄者・朝崎郁恵さん(奄美・加計呂麻島出身)から
お話を伺い、その軌跡をたどってみることに。

喜原弥穂子:私が当時5歳の時に、島の学校の校庭で上映されたこの映画の映像がとても印象に残っていたのです。この映画を子どもながらに観ていた時の、心が優しくなるようだったというか、心が楽になる(開放される)ような感覚でした。今の時代だからこそ、そういう心の底から温まる映画が必要なのではと思いまして。それでこの映画を製作した日本映画新社の倉庫に眠っていたのを探し当て、それを掘り起こしました。“想えば、巡り会える”ものですから不思議ですよね。さすがに50年前のものですからフィルムが途中切れていたり汚れもあったのですが、そこも世界初の技術で修復して複刻させました。
50年も昔の映像だというのにクリアーな映像で、それはまるで昔の風景にタイムスリップしたような感覚になり、島人でなくても、なんだか懐かしい“母なる島”に訪れたような気分にきっとなれる、そんな映画だ。

喜原弥穂子:この映画『エラブの海』の魅力的な映像から、昔の自然の良さを共鳴して感じてもらうことで、人間が自然との共存を意識してもらえたらという想いもあります。
現在、島人であっても自分たちのルーツを忘れかけているかもしれません。ここに登場する少年(ルーツは北山王の末裔)、おじいちゃん、海女さんたちからも美しさを感じ取れることが、たった60分の映画ですがそれがいっぱい詰まっています。
この映画は、制作した当時から様々な初挑戦をしてきました。海の中の映像を撮る水中カメラのケースも自分たちで手作りしたり、すべてにおいて魂を込めて作られました。今の時代、情熱が薄れてきているような中で、この映画で活き活きと描かれている登場人物の姿や大自然を、まずは観て触れて頂けたらと思っています。
監督やカメラをはじめ錚々たる映画スタッフによって、難しい映画をやさしく表現しているところがまたポイントという。
そして、注目のひとつに、奄美島唄の朝崎郁恵さんの18歳の頃の歌声が収録されているところもお宝だ。
朝崎郁恵:この映画『エラブの海』には、10代の頃の私の唄が3曲収録されています。『黒だんど節』『糸くり』『ヨイスラ節』です。当時は島唄を歌うのは年輩のかたが多かったので、珍しかったようです。うちの家系は唄を歌う家だったものですから、唄の中で自然と育ったようなものです。
当時、奄美には録音スタジオは無いので、古仁屋(瀬戸内町)の小学校の体育館で録音しました。三味線は名人の勝島徳郎さんです。
驚くことに、18歳の歌声ながらも“あっ、この唄は朝崎郁恵さんだ!”とはっきりわかる。
朝崎郁恵:18歳ですから、“18歳の歌”ですよ。その若さにして、今のような歌い方だったらおかしいですからね。やっぱり、人生の年輪を積み重ねて、唄は深みを増してゆくものです。
でも、あれは私の原点。メジャーデビューしたのは67歳でしたが、はじめてのレコーディングは18歳の時に撮ったこの映画の主題歌だったんです。そのフィルムがDVDに複刻して、こうやって皆様に聴いて頂けることは幸いです。
ところで、ポスターやチラシに「ナマ ククル ヌクサン」と書かれた1行にはどのような想いがあるのでしょう。

喜原弥穂子:環境は、人の心が作っています。環境の再生も破壊も、人間の心次第だと思うんです。
「ナマ ククル ヌクサン」は、「今、心が温かくなる」という意味です。“自分さえ良ければ”という心が蔓延しないように、世の中が冷え切らないようにと、そんな希望を持っています。
朝崎郁恵:半世紀前の映画に記録されている奄美群島のエメラルドグリーンの海は、今の海よりもさらにもっと綺麗なので、見比べて頂いてどう変わっていっているのか、そして私の若い頃の歌声もぜひ聴いて頂きたいですね。

それはまるで奄美の海のような唄です。そしてどこか懐かしい心の故郷の景色があります。復刻版のDVDは、下記HPより入手可能です。
※問い合わせ先HP:(発売元(有)ゆめ企画)
http://www.yumekikaku.org/
※購入先HP:(販売元(株)ソニマ)
http://company.sonima.co.jp/erabunoumi/
(取材協力: (有)ゆめ企画、おぼくり、桜坂劇場)
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DVD復刻にちなんで、映画『エラブの海』の話題をあちこちで見かけてホクホクして
「ナマ ククル ヌクサン」【与論島クオリア】at 2008年01月26日 11:00
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