本部のシマエイサー
エイサーの原風景を訪ねて〜第2弾。
シリーズ第1弾では平敷屋エイサー(うるま市勝連)のルーツではないかといわれる名護の世冨慶エイサーを特集しましたが、今回はさらにその元のルーツを辿ってゆきたいと思います。
ところで、旧盆エイサーの原形がなぜ念仏踊りではないかといわれるようになったのでしょうか。その歴史は400年前にさかのぼります。
1603年、浄土宗の僧侶・袋中上人(たいちゅうしょうにん)は中国に渡ろうと試みたところ、豊臣秀吉の「朝鮮征伐」の影響で入国が許されず、その帰りの航路で嵐に遭遇し漂着したのが琉球だったといいます。
時の王・尚寧(しょうねい)に仏教への帰依を得て、庶民にわかりやすく念仏踊り(じゃんがら念仏)で広めたといわれ、それがエイサーのルーツではないかという説が有力なようです。
今でこそ、派手な太鼓エイサーが全国的にも知られるようにようになりましたが、元々は手踊りエイサーが原点ではないかもといわれ、今も北部には手踊りエイサーが盛んな地域がまだまだあります。
手踊りエイサーが多く残る地域といえば本部町のシマエイサー。前回ご紹介した世冨慶エイサーも、そのルーツとして有力説のひとつが本部町の瀬底島から伝わったものだともいわれます。
本部のシマエイサーは、地域によっては伝統祭祀であるシヌグの行事の中でも舞われる集落もあるようです。
そのような昔ながらの手踊りエイサーが現在でも多く残っている本部町では、4年前から青年達が中心となって手作りの青年エイサー祭りを開催しました。
その最初の呼びかけ人が、当時の瀬底青年会の会長さんだったそうです。
瀬底の会長さんは、酒を持って各区の青年会をひとつひとつ廻って呼びかけていったといいます。
「今までやった事がないことを、各区のみんなでやってみようと思った」のだそうです。
はじめての試みに賛同する青年会もあれば、またライバル意識もあってか非難されることもあり、そのような苦労もありながら青年エイサー祭りの開催を実現していったのだそうです。
第1回から第3回目まで本当に自分たちだけで手作りした自分たち本部人のためのお祭りを、今年からは、新しく発足させた本部町青年団協議会(昨年12月に発足)が主催となって開催。
これまでの取り組みに貢献した瀬底、大浜、崎本部、伊野波、備瀬の各青年会には感謝状が贈られました。
本部町青年協議会会長・大城元治さんは、
「本部には、先輩から代々伝わった昔ながらの手踊りエイサーが多いのが特徴ですので、そこを楽しんで頂けたらと思います。
今回、本部町青年団協議会を立ち上げて初めてのエイサーまつりということで、地域の皆さんに喜んで頂いて何よりです。
これからも若い力でどんどん盛り上げてゆけたらと考えています」とのこと。
町内から出演した8団体の中で、手踊りエイサーが6団体を締めるほど、昔からの手踊りエイサーがこれだけ多く残っている青年エイサーは今では本部だけではないでしょうか。
各青年会は、やぐらの周りに大きな円陣を作り、手踊りを中心としたシマエイサーに誇りを持って、大きく舞っていたのが印象的でした。
渡久地青年会:
「今回、エイサー祭りを企画された本部町青年団協議会の皆さんお疲れさまです。それから1回目から第3回まで引っ張ってくれた瀬底青年会の皆さんもありがとうございました。渡久地区は今回初参加なんですが、また来年も頑張ってゆきたいのでよろしくお願いします」
大東山青年会:
「私たちの青年会エイサーは6年ぶりに復活して今日の演舞をやることができました。各青年会が集まって、本部町を発展させていけたら凄いなと思います。
今8団体あるのですが、また来年はさらに全部の区が参加してもっと増えていけることを願っています」
谷茶・辺名地青年会:
「谷茶と辺名地が統合されて、今年はじめて皆さんの前で踊るエイサーでした」
大浜青年会:
「昨年以上に今年はお客さんに来て頂いて大変嬉しいです。
来年もまた盛り上げて行きたいと思いますので多くの皆さんにぜひ来て頂きたいですね」
瀬底青年会:
「こんなに大勢のお客さんが来場して大成功だったと思います」
崎本部青年会:
「昨年よりも今年、今年よりも来年と、一歩一歩いいカタチになっていって、そして皆さんの盛り上がりも素晴らしくなってきていると思います。
各区も負けないように頑張っているようですし、また自分たちもそれに負けないように頑張ろうと思いますので、みなさん、競争心も持ちながら頑張りましょう」
伊野波青年会:
「今日も素敵なイベントができて良かったです。また来年もできるように頑張ってゆきます」
備瀬区青年会:
「今日はこんな遅い時間まで沢山のお客さんに来て頂き、踊り手が元気が出ましたね。大成功だったと思います。ありがとうございました」
現在も青年たちのエネルギーに満ちあふれた舞いを魅せた
粋な本部のシマエイサーでした。
エイサーの原風景を訪ねる旅は、これからもまだまだ続いてゆく予定
ですので、続編もどうぞお楽しみに。(つづく)
※エイサーの原風景を訪ねてシリーズ:(Back Number)
(1)『世冨慶エイサー』(名護市)
http://ryuqspecial.ti-da.net/e1727422.html
(2)『シマエイサー』(本部町)
http://ryuqspecial.ti-da.net/e1729096.html
(3)『石川エンサー』(うるま市)
http://ryuqspecial.ti-da.net/e1739088.html
(4)永久保存版『エイサー起源』
http://ryuqspecial.ti-da.net/e2251010.html
(5)『エイサーの始祖・袋中上人』(エイサー起源シリーズ)
http://ryuqspecial.ti-da.net/e2269301.html
(文: KUWAこと桑村ヒロシ、写真: KUWA、P2)
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この記事へのコメント
いい企画でした。今後を楽しみにしています。なにしろエイサーの原型ですもの。
Posted by コロリ at 2007年10月13日 10:19
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
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