2007年08月22日
映画ひめゆりの貴重なトークショーとそしてCocco[後編]

前編に引き続き、8月15日に実現した映画『ひめゆり』の上映会イベントの様子をお届けします。監督、元学徒隊の宮城さんと島袋さん、Coccoの4人によるトークショーのいよいよ後半。そして、Coccoが贈った歌のプレゼント。上映会をご覧になった方々の声などどうぞご覧ください。

●トークショー:(後編)
島袋さん:62年前、艦砲射撃が始まった時に学校を出発しました。今の若い方々は戦争を知らないですよね。知らないという事は大変恐ろしい事なのです。
中国との戦争やらアジアの民族を救う為だとか言って沢山の人の命が奪われている戦争が行われていました。今みたいにインターネットやテレビはありません。嘘の報道も堂々となされたのです。ラジオでも、負けていても「勝ってる」という嘘の情報でした。
本当の戦争の恐ろしさを知りませんでした。一週間もすれば勝ち戦で「よく頑張ったな」と言って学校に戻れると思っていました。だから皆で「頑張ろうね」と学校を出て現場に向かったのです。
そこでまさかお友達や先生が、227名も戦争に巻き込まれると思わなかった。
「何が間違っているか、本当に正しいのは何かと判断力を養って欲しい」と思います。

宮城さん:まったく無知のまま戦争に行って、戦場で惨さ、辛さ、悲しさを味わいました。一番何よりも悔しかったのは211名の生徒と16名の先生の227名の死でした。
一緒に戦場に行ってほとんどの方が二度と帰ることが出来なかった。
いかに私達が無知なまま戦争に行ったのか、戦争が終わってようやく知りました。
私達は18年間ひめゆり資料館の中だけでたくさんの方に語ってきたけれど、今になってようやく社会に出ていろんな場所でメッセージを伝える事が出来ます。

たくさんの方に「初めて知った」とか「戦争とはこんなに恐ろしいものだったのか!」と若い方も戦争の体験をしなくても、その恐ろしさを感じて下さっている事です。
「命を大事にして下さい」それが私達の願いです。人間のすべての原点は命です。
でも一つだけ条件があります。平和じゃなければ生きられません。平和じゃないと生きられないという事実をみなさんが知って下さって、そして命を大事にして下さる、それを心から願っています。
●Coccoライブ:
映画『ひめゆり』に「忘れたいことを話してくれてありがとう」とコメントを寄せたCocco。そのCoccoから歌のプレゼント。それは、これまで生きてきて
大事なことを伝えてくれた彼女たちへの感謝の気持ちが込められていました。
6曲目、最後に『ジュゴンの見える丘』を歌う前に、Coccoからはこんなメッセージが。
「今日はみんな来てくれてありがとうね。終戦記念日にいつもお祈りするのは、戦没者の為のお祈り。Coccoは気がついたら、それをした事が無かった。実感として会った事が無い人だからかもしれなくて。だから今生きているオジィ、オバァにありがとうございますと手を合わせます。
喜久子さん、淑子さんに会えたし、(生存してくれた方に)生きていてくれた事にありがとう。
「生き残ってしまった」と絶対に思って欲しくない。貴方がたが生きていて話してくれて、どれだけ皆が感謝しているか…Cocco達を信じて欲しい。
だから「生きていて良かった」と思って欲しい。思ってくれるまでずっとずっと伝えていきたいし、歌っていきたいと思っているから。みんなも一緒に!!
だからありがとう。そして、みんなもありがとう」
●映画を見た観客の声:
◎30代男性 K.Sさん正確なドキュメントで実体験を聞かせて頂いたので重みがありました。今日は特に…終戦記念日でもありましたし。世界のいろんなところで戦争がありますよね。Coccoさんのメッセージも沖縄出身という事もあってよく伝わりました。
◎20代男性 S.Yさん
特別な演出も無く、本当に一人一人の方の一つ一つの言葉が伝わって、ずっしりときました。生存者の方々の言葉がストレートに伝わってきて、それを今どう言っていいのか分からないけど、これからもっと深く考えてみようと思いました。僕達はもちろん戦争を知らないし…でも世界では戦争がまだあっても実感は無いですね。Coccoさんも言っていたけど知らなくて当たり前。でも少しでも皆に、友達や親、周りの人達に戦争のリアルさを伝え、実感のあるものにしたいと思う。
◎30代女性 Y.Oさん
今までは戦争に対して漠然と見ている事が多かったです。戦争の実感としては無かったんですけど、Coccoさんのメッセージや生存者の方の体験を実際に聞くと、映画とはまた違う想いが伝わって来るので、今回来て良かったと思います。実際は話を聞いたり(映画などで)見たりするとかしか出来ないので本当のことを分かるのは不可能なんですけど、戦争を体験してきた方が語ってくれるというのは、本当に強い人なんだなと思います。このように語ってくれている事に感謝します。
●取材担当・SATOKOの感想:
映画『ひめゆり』は私も初めて拝見しました。いままでの映画とはまったく違うドキュメンタリーで、そこに体験の証言が何年もかけてひとつひとつ紡がれていました。心に突き刺さる現状、あまりにも辛い彼女方の体験には涙が止まりませんでした。同時に「どうにも出来なかった」という状況になった戦争の恐ろしさ、むごさ、悔しさ、悲惨さを実体験の方々の証言で、少しではありますが知ることが出来ました。
今だからこそ言わなくちゃ、今だから語れる、今しか伝えられない……。
戦後62年も経っていても彼女方の記憶は、あまりにも鮮明なのです。
多感な15才から19才という時期に、がむしゃらに言われるがままに必死に生きた証がはっきりと残され、戦争体験の全く無い私の脳裏にはすさまじい惨状が浮かびます。
映画では、学徒の皆さんが実際に壕の中や海岸、その時にいた場所を訪れて語ります。
もう80才を超えるというのに、トコトコと軽やかに歩き、草木も生えて変わったであろう場所であると思われるのに、ここには何があってどんな風だったかの記憶がはっきりとしているのです。
どの場所で、どんな風に負傷兵の手術などが行われたのか、その時の先生の言葉や友人の様子、みんなが居た位置、空の様子から海の様子、その時に感じていた気持ち。
すべてが残酷過ぎて「戦争とはこういうものだったのよ」と語るには相当な時間が必要だったと想像出来ます。だから家族にも誰にも言えず長い間いらしたのだと思います。
未だに語るのも思い出すのも辛すぎて耐えられない方がいらっしゃるのも事実です。心の傷は深く、察するにあまりあります。それを10代に経験してしまった戦争というもの。
一人一人の記憶を紡いで、これからの人々に語り継ぎ、絶対に戦争はしてはならないと。
生きている彼女方が今だから話してくれる、でも…言葉にするにはあまりにも辛すぎた戦争を、映画を通して私たちがしっかりと受け止めなければならないのだと思います。
→映画『ひめゆり』公式HP:http://www.himeyuri.info
(※最新の上映情報などが掲載中です)
(取材:SATOKO、編集:桑村ヒロシ)
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